赤身の肉が食べたい。 |
当ブログのサレ担当・高崎です。
よろしくお願いいたします。
ブログを始めるにあたって第1回目のネタをいろいろ悩みましたが、やっぱり「肉」だな、と思い至りました。なぜってフランスにいると、とにかく肉を食べる食べる。日本では肉1人前の分量は100〜120gが平均だそうですが、フランスだと200gは当たり前、Côteコット(牛リブロースかたまり肉)のオーブン焼きなんかだと、1人前は300gから、なんて言う話もあります。
単純計算でほぼ倍の肉を食らっているわけです。
肉1人前のグラム数目安(日刊紙Le Mondeのサイトより)
肉の部位だけではなく、調理法も指定されているところに溢れる肉愛を感じます。
http://chefsimon.lemonde.fr/pratique/grammage-viandes.html
日本からやってくるみなさん、特に私がお仕事でご一緒するような食業界の方は、質・量ともにフランス人を凌駕する食欲の持ち主も多数いらっしゃいます。が、こと肉に関しては別、というケースがほとんどです。
引き続き牛肉を例にとると、まず好みの肉質が違う。フランス人が好きなのは繊維ぎゅうぎゅうのどっしり厚い赤身肉で、それをワシワシと噛みつぶし、にじみ出てくる血肉の風味を堪能します。日本のとろけるようなサシ肉も最近人気が出ていますが、「口の中ですぐなくなっちゃって食べた気がしない」という声もちらほら。そういう肉を食べているからケツアゴが多いのか…などと考えさせられるような強力食感が、この国では推奨されています。
そして前述したように、量。これまで日本の方と幾多の牛ステーキを共にしてきましたが、ビストロ平均のサイズ(+付け合わせ)を完食した人物を、私は2名しか知りません。そのうち1名は日本でも肉ばっかり食べている方、もう1名は育ち盛りの青年でした。
「こんな草履みたいなサイズ食えるか!」「固いんだよねぇ」「もう勘弁してください」「いやー無理」…残されてしおしおになった肉の前で、そんな声を何度耳にしたことでしょう。かくいう私もフランスに暮らし始めた当初は、似たような悲鳴を上げておりました。
しかし慣れというのは恐ろしいもので、数年暮らして食べつけていくと、そういう肉質も量も苦ではなくなります。それどころか定期的にムラムラと、赤身肉欲がわき上がってくるようになるから不思議です。
これまでフランス在住日本人の方とも幾多の牛ステーキを共にしてきましたが、完食しない人のほうが少ない。そのほとんどはお年を召した方かダイエット中の方で、しかも残されるのは肉ではなく、付け合わせです。
あああの肉をむしゃむしゃと食べたい。外がかりっと香ばしく中がジュワーッとふかーっとしたのが食べたい。
もぐもぐしてると口の奥から鼻に、お肉のい〜い香りが上がってくるようなヤツ。
合間にほくほくの芋フライ、ついでに赤ワイン(昼ならガメイな安酒なんかねー)の数杯でもあればいいねー。
付け合わせはサラダも選べるの?なにいってんのそこは芋でしょやっぱりハハハ。
そんな赤身肉をちょっといいレストランで食すと、サーロインで1人前25ユーロ前後から、リブロースで30ユーロ前後からが相場。リブロースは二人前からの注文が主流です。肉だけを食らう訳にもいかずもろもろの付属品を注文すると、お会計はさくっと50ユーロを超えてしまいます。今1ユーロが130円台なので、中流家庭にはたいしたご馳走です。
贅沢は敵週間、でも旨い赤身肉が食べたい…。
赤身肉欲はこちらの懐具合などお構いなしに襲ってくるのです。
葛藤の末、赤い草履がステーキに見えるまでになってしまったら。
馴染みの肉屋に走り、二人分で1kg前後のリブロースを購入。焼く30分前に冷蔵庫から出して室温に戻しておき、フライパンで両面にしっかり焼き色をつけます。その後220度のオーブンへ。じっくり15分ほど焼いた後、10分ばかし休ませてからいただきます。
ウッハウハー!!!ムッシャー!!ギャートルズ!!
写真のお肉の出所は以下。三つ星シェフ御用達の凄腕有名肉屋ですが、家で焼けばレストランよりずーっとお手頃に食べられます。そりゃ焼きの加減はプロの仕事には遠く及びませんけどね、赤身肉欲の急場をしのぐには十分です。肉そのものの味が極上なので、塩こしょうだけでうまうま。むしろ味付けなしでもイケルる、驚きのおいしさであります。
ユーゴ・デノワイエさん。16区のお店はイートインも可能です(予約推奨)
http://www.regalez-vous.com